北海道産業保安監督部
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平成29年(2017年) 年頭所感

平成29年 1月 1日

経済産業省 北海道産業保安監督部長 伊藤 正義

伊藤 写真

 平成29年の新たな年の訪れを謹んでお喜び申し上げます。

 皆様には、日頃から国民の安全と安心を守るための産業保安政策に格別のご理解とご協力を賜り厚くお礼申し上げます。
 今年の干支である酉は、漢字語源語義辞典によりますと、本来の読みは「ユウ」。十二支の第10位で、植物が成熟した状態。甲骨文字では、酒の意味にも使われ、引き搾る、引き締まる、縮める、というコアイメージがあるそうです。こう言われてみますと、長年の努力が実を結ぶ何かいい1年になりそうな予感がします。

 新年を迎えるにあたり、取り組むべき課題について、一言申し上げます。

 東日本大震災の影響で避難生活をしている方が約17万1千人いるという状況の昨年4月に、熊本地震が発生し、その後も、6月に函館市で観測史上初となる最大震度6弱の内浦湾地震、10月には最大震度6弱の鳥取県中部地震、11月には最大震度5弱の福島県沖地震が発生するなど、我が国は世界有数の地震大国であるということを再認識させられました。
 また、昨年の夏には、観測史上初めて1年間に3つの台風が北海道に上陸、それもなんと1週間に3つ上陸し、6日後には4つ目の台風10号の接近に伴う豪雨の影響でライフラインも大きな被害を受けた他、土壌の流出や土砂の流入のあった農地が1万2千ha以上(山手線の内側約2か所分)となり、北海道内におけるこの豪雨の影響は長期化するのではないかと懸念しております。

 被災された全ての皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、捜索、復旧及び復興に携わる全ての関係者の皆様に深く敬意を表するものです。

 震度7の揺れを2回経験した熊本市で都市ガスを供給している西部ガス(株)から、耐震化率の高い復旧ブロックほど被害率は小さい傾向にあったと伺いました。被害を最小限に抑えるため、設備の耐震化は有効であることが証明されました。計画的な耐震化対策を加速させる必要があります。
 言うまでもなく、近年、全国的に爆弾低気圧等により想定外の自然災害の発生が増加傾向にあること、また、引き続き、大規模な地震の発生が懸念されていることから、電気・ガス等のライフラインを担当する我々として、それぞれのリスクに応じた事業継続計画(Business Continuity Planning、BCP)を作成し、絶えず見直しを行い、修正を加えるなど、BCPや保安対策は、ここまでやったから十分というものではないということを常に心がける必要があります。

 本年4月から、ガスシステム改革の「都市ガスの小売の全面自由化」が実施され、昨年4月から始まっている電力システム改革第2段階の「小売全面自由化(参入自由化)」と併せて、主なエネルギーの販売が全て自由化され、都市ガスと電気のセット販売などの新商品や新規に参入する企業が増えることなどにより、お客様の獲得競争が一層激しくなることが予想されます。この場合であっても、お客様は安全に対する期待値を下げてはいないという前提、即ち、国民の安全と安心を守るために最低でも現行の保安水準を維持するという立場できっちり監督して参ります。

 産業事故やトラブルの発生件数やそれに伴う死傷者数は、近年、減少傾向にありますが、残念ながら、重大事故は随時発生しています。その要因は、設備の老朽化のほか、ベテラン労働者の引退にあたり、彼らが培ってきた保守管理の高度な技能が次世代に継承されていないなど、業種を横断した構造的な問題があるようです。
 小学生の息子に「保安担当のパパは、かっこいい!」、高校生に「保安を専攻する進路が魅力的に思える」、大学の研究講座に「保安関連のテーマが増える」など、若者からみて保安が魅力ある業務になり、かつ、海外市場に打って出ていく保安(保守管理技術)にするため、高度なセンシングによるビッグデータの収集、AIによる分析を通じて異常・予兆の早期検知、適切なアラームを可能とするスマートな保守管理システムを創造することは時宜を得た政策であると思います。今、現場で何が必要か、現場目線で、より使いでのある政策にするために、関係者の皆様のご理解・ご協力、忌憚のないご意見をお願いします。

 いびつな年齢構成や、育児や介護の負担を抱える職員の増加等により、従来の働き方を前提としたままで、与えられた使命に応える成果を出し続けることには限界が近づいています。今こそ、働き方改革に率先して取り組み、震災復興対応など想定外の出来事が発生した場合でも国民の安全と安心を守るという組織の使命に応えるため、職員全員が活き活きと働ける職場環境の整備に取り組みます。
 特に、仕事と家庭の両立を認めないハラスメントの総称としてファミリーハラスメント(ファミハラ)という言葉があります。この概念には、Maternity harassment(マタハラ:妊娠した女性に対するハラスメント)、Paternity harassment(パタハラ:育児に積極的に取り組む男性に対するハラスメント)及びCare harassment(ケアハラ:介護責任を負う職員に対するハラスメント)が含まれますが、産休等で休暇を取得した職員の支援に入る職員の負担軽減や適正な評価などの対策も含めた総合的な「ファミハラ」の防止に努め、職員全員がワークライフバランスを確保し、誇りを持って活き活きと働き、与えられた使命に応える成果を出し続けることできる職場環境を創ります。

 昨年は、杭打ちデータの改ざん、免震ゴムの性能データ改ざん、排ガス不正、不正会計、燃費不正、過労自殺という概念を世に知らしめた最高裁判決(電通事件、平成12年3月24日判決)で有名な会社によるネット広告不正など、世界に冠たる企業の不正が次々に発覚した驚愕の1年でした。
 身近なところでは、ばい煙排出基準の超過・データ不正、LPガスの設備工事の請負事業者への不適切な管理、火薬類の無許可製造、不適切な電気保安管理業務や社内における品質検査の不備などの問題が発生しました。
 保安業務は、難しい資格試験に合格した個人が、その度ごとに一部改正される法令、技術基準、運用通達などを、保安規程など社内の手順書に反映させる必要があり、しかもそれを、1年365日、昼夜を分かたず、片時も休むことなく対応している本来業務と併行して行わなければならないという特徴があります。このため、失敗は、ややもすると個人の問題とされがちですが、失敗を担当者個人に押し付けるのではなく、組織として失敗とどう向き合うかという姿勢が、我々監督する側も含めて重要であると思います。
 免震ゴム問題や燃費不正の報道に触れるにつれ、過去に不正のあった組織の体質そのものがいかに変わりにくいか、変わるのが難しいかということを考えさせられます。
 失敗が発生した時に、明らかにするのか、隠すのか、そこが重要で、業績が悪くなったら上司には報告したくないという気持ちも、それが積み重なると不正に発展するようです。
 多くの場合「一人で仕事を抱え込む⇒上手くいかない案件を隠したり嘘の説明をしたりする⇒データや書類を改ざんする」という悪循環があるようで、それを断ち切るためには、組織としての工夫が必要になります。失敗は恐ろしいこと、悪いことを上げたら人事評価が下がるという、減点主義が組織として定着した価値観になっていれば不正の温床になりかねません。
 失敗や悪いことがあれば、早く報告しなさいということを徹底させる組織、失敗や悪いことは起こりうるもの、失敗や悪いことが小さいうちに組織として確知して軌道修正した方が、信頼回復までのコストを考えるとお得であるという価値観を持つ組織、必要な情報や業務の目標をきちっと共有できる風通しの良い組織を創り、不正を防ごうではありませんか。
 昨年6月、『「違法とは言えない」不適切な支出』で辞職した知事がいましたが、やはり、法令の順守は当然として、更に、その上位概念となる倫理、即ち、善悪の判断を優先させる行動を組織として確立して、経営トップから現場の担当者まで無意識のうちにできるまでこの行動を習慣となるようにすることが必要ではないでしょうか。
 年頭にあたり『法令だけでなく倫理や社内外のルールを守って行動すること(Compliance)の重要性』を再確認したいと思います。

 各分野を担当の課別にみてみますと、

≪保安課≫ 昨年、都市ガス事業では、漏えいなどによる事故が12件あり、うち、1件では、道路に埋設された中圧導管の小穴(原因調査中)から漏れたガスが付近の集合住宅に滞留、引火爆発し、住民1名が死亡しました。高圧ガスでは、漏えい、容器の盗難など42件。LPガスでは、漏えいなど6件。石油コンビナートでは、漏えい、火災などの異常現象が9件。火薬では、消費の現場で下草火災などの事故が2件発生しました。
 当部としては、事故事例及び再発防止対策等の保安情報の広報に努めるとともに、都市ガス事業においては、経年管の腐食によるガス漏えい事故の防止や地震対策として、引き続き、ポリエチレン管等への計画的な入替えや可能な限りの計画の前倒しについてガス事業者を指導するとともに、灯外内管の入替えを建物の耐震化に資する対策の一環と位置付け、関係府省及び自治体と連携し、需要家に注意を喚起します。
 更に、国民の安全と安心に応えるため公衆災害の撲滅を目指し、計画的な耐震対策の啓蒙や防災訓練を支援します。

≪電力安全課≫ 昨年、「電気事故報告(電気関係報告規則第3条)」が66件あり、うち、高圧配電線への接触による感電死亡事故が1件、負傷事故が6件発生しました。公共の安全を確保し、環境の保全を図るため、立入検査等を強化するとともに事故事例及び再発防止対策等の保安情報をホームページや各種会議で広報します。

≪鉱山保安課≫ 昨年は、ゼロ災害を達成しました。関係者のご尽力の賜と深く感謝いたします。今年は「第12次鉱業労働災害防止計画」の最終年になりますが、鉱山災害防止のためのガイドブックや中小零細規模鉱山向けの教材を活用しながら、「鉱山保安マネジメントシステムの構築・有効化」の促進と自主保安の確立に向けた支援に努め、引き続き、ゼロ災害を目指します。

≪鉱害防止課≫ 幌別硫黄や豊羽など管内に29ある主たる休廃止鉱山の坑廃水処理等の鉱害防止対策の着実な実施並びに我が国初となるパッシブトリートメントの導入による取り組みを支援し、河川環境等の保全を通じて農地や沿岸海域における鉱害を防止します。

≪釧路産業保安監督署≫ 国内唯一の坑内掘炭鉱である釧路炭鉱の特性に応じた、適時、適切な監督に努めます。

 本年も職員一同、国民の安全と安心を守るため、強い使命感を持って、科学的・合理的な判断、業務遂行の透明性、中立・公正性をモットーに全力で取り組んで参りますので、産業保安政策へのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 結びに、本年が皆様にとって大きな飛躍の年となることを祈念いたしまして、新年の挨拶とさせていただきます。

北海道産業保安監督部 管理課
電話 011-709-2311 (内線) 2811〜2812
ファクシミリ 011-709-4143
E-mail hokkaido-kanri@meti.go.jp

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