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平成26年度第3四半期(10月〜12月)に発生した管内における発電所主要電気工作物破損事故について、電気関係報告規則(以下、規則という。)に基づき当部に対して12件の報告があり、概要についてお知らせします。
主要電気工作物は、施設の運転、維持又は保安対策上必要不可欠なものとして規則に定められており、当該電気工作物の破損事故によっては、施設の機能に重大な影響を及ぼすだけではなく、道路や公園等の公共の財産に損害を与え、社会的に影響を及ぼすおそれがあります。
したがって、発電所に電気工作物を設置する者には、上記のような損害の発生等を抑止するため、「発電用火力設備に関する技術基準」、「発電用水力設備に関する技術基準」又は「発電用風力設備に関する技術基準」に適合するよう維持、管理するとともに、万が一、当該事故が発生したときには、その原因を究明し、再発防止対策を図ることが求められています。
電気保安に携わる皆様におかれましては、本事例を参考として、事故に伴う損害を十分に認識し、発生し得る社会的な影響を踏まえ、保安意識・技術の向上や、適切な点検・計画的な設備更新を図るとともに、自主保安体制の充実・強化に努め、電気事故の防止に役立てていただきますようお願いいたします。
件名 | 【火力】自家用発電所ボイラー破損事故 |
発生年月 | 平成26年10月 |
事故発生電気工作物 | ボイラー 蒸発管 |
事故の概要 | ・運転中、ボイラー蒸気流量低下、ボイラー給水量の増加を確認。 ・現場状況確認の結果、スートブロワ付近から蒸気漏れと思われる音を確認したためボイラーを停止。 ・スートブロワ付近水平蒸発管の破孔を確認。 |
事故原因 | 保守不備(自然劣化) ・ドレン(復水)が蒸発管にあたり減肉し、また、長年スートブロワの噴射蒸気があたり部分的に減肉し、破孔に至ったものと推定。 |
再発防止対策 | ・定期整備時及び自主検査時に、今回破孔した管及び減肉箇所周辺の目視、触手、肉厚測定、プロテクター設置箇所についてはプロテクターの設置、減肉状況を確認のうえ、経過を注視。 ・スートブロワについては、自主検査時に水管、プロテクターの状況を確認し、異常な減肉等が見つかれば蒸気噴射口整備及びエレメントパイプ交換等の整備を次回定期整備時に検討。 |
件名 | 【風力】自家用発電所逆変換装置破損事故 |
発生年月 | 平成26年10月 |
事故発生電気工作物 | 逆変換装置 |
事故の概要 | ・逆変換装置異常警報発生し、風車が自動停止。 ・逆変換装置のマスターユニット破損を確認。 ・同型予備品と交換後運転再開。 |
事故原因 | 設備不備(製作不完全) ・発電機並列時に過大な電流が発生することによりIGBT周波数変換器への熱疲労が蓄積することにより破損した。 ・発電機内部演算のIGBT電流制御パラ-メータが最適化されていなかった。 |
再発防止対策 | ・内部演算に使用するCTの性能を確認し、検出補正を行う。 ・内部演算のIGBT電流制御パラ-メータを変更することにより並入時の電流値を最適なものにする。 |
件名 | 【火力】自家用発電所タービン破損事故 |
発生年月 | 平成26年11月 |
事故発生電気工作物 | タービン 調速装置 |
事故の概要 | ・運転中、発電所構内の落雷によりタービンがトリップ。 ・その後、調速装置(電子ガバナ)故障を確認。 |
事故原因 | 自然現象(雷) ・構内落雷事故発生によるものと推定。 |
再発防止対策 | ・今後も避雷針の維持管理の徹底及びサージアブソーバー等追加検討。 |
件名 | 【風力】自家用発電所ブレード落下事故 |
発生年月 | 平成26年11月 |
事故発生電気工作物 | 風力機関(ブレード) |
事故の概要 | ・強風に対する風車予防保全のため停止措置準備中にブレード落下事故発生。 ・定格出力運転中にブレード3枚のうち1枚が根元から飛散し55m先に落下した。 ・ブレード飛散によって、太陽電池発電所専用送電線を切断した。 |
事故原因 | 設備不備(製作不完全) ・ブレードとピッチベアリングを接続するアルミニウムリングボルト孔に対する設計上の配慮の欠如(設計上の問題)が直接の原因。 ・ボルト孔底部のフィレット径が過小となっていたので応力集中が発生し、疲労破壊によりクラックが拡大したことによりブレードが脱落した。 |
再発防止対策 | ・ボルト孔の形状をフィレット径の大きなものに加工。クラック発生部は溶接補修する。 ・定期的に、超音波探傷検査を実施する。 |
件名 | 【風力】自家用発電所ブレード破損事故 |
発生年月 | 平成26年11月 |
事故発生電気工作物 | 風力機関(ブレード) |
事故の概要 | ・変電設備フィーダーの過電流リレー動作によるトリップ。風車停止。 ・ブレード内埋設ケーブルシールド線にアーク痕を確認、補修後絶縁抵抗測定結果:良 ・風車復電。 ・発電機、ライトニングケーブル等の落雷状況の確認。 ・リーディングエッジ側の埋設ライトニングバーに損傷確認。 |
事故原因 | 自然現象(雷) ・当日朝に、事故発生時刻にピーク電流値98kAの落雷観測さてれおり、これがブレード損傷の原因となった。 |
再発防止対策 | 高エネルギーの落雷を完全に防ぐ手立てはないが、以下の対策を講じる。。 ・接地システムの健全性の維持。(@落雷後の早期のブレード目視状態確認。A定期点検時の放電ロッドの点検・調整。B接地抵抗測定の定期実施。) ・定期的にブレード点検を実施し、損傷箇所の早期発見・補修を行う。 |
件名 | 【風力】自家用発電所増速機破損事故 |
発生年月 | 平成26年11月 |
事故発生電気工作物 | 増速機 |
事故の概要 | ・風車の潤滑油圧低警報が発生し、風車停止。 ・潤滑油ギヤポンプに異物を噛み込み、モーターと当該ポンプを連結しているカップリングが破損。 ・増速機内部を内視鏡により遊星歯車1個の軸受損傷を確認。 ・増速機破損事故と判断し、風車の停止処置を実施した。 |
事故原因 | 設備不備(保守不完全) ・増速機の遊星軸受に自動調心コロ軸受が使用されているが、アライメント調整不足から当該軸受を損傷。これにより発生した金属片が潤滑油ギヤポンプに噛み込み破損したものと推定される。 |
再発防止対策 | ・不具合兆候を把握し、早期に増速機を交換する。 ・整備時にアライメント確認にレーザー計測装置を導入し精度向上を計る。 ・オイルラインフィルター交換時にフィルターに補足されている金属粉量の確認。異常があった際には増速機内部を内視鏡により確認を行う。 |
件名 | 【風力】自家用発電所逆変換装置破損事故 |
発生年月 | 平成26年11月 |
事故発生電気工作物 | 逆変換装置 |
事故の概要 | ・警報が発生し、風車が自動停止。 ・逆変換装置のマスターユニットの直流ヒューズ及びチャージングヒューズの溶断を確認。 ・逆変換装置のIGBT部の故障の可能性が高いと判断。 ・同型予備品と交換後運転再開。 |
事故原因 | 設備不備(製作不完全) ・風速の急激な増加によりIGBT出力電圧(直流)が閾値を超えることによりIGBT周波数変換器に過大な熱負荷等が発生し、素子が破損した。 |
再発防止対策 | ・直流電圧が過大にならないような制御ソフトを導入する。 |
件名 | 【火力】自家用発電所タービン破損事故 |
発生年月 | 平成26年12月 |
事故発生電気工作物 | タービン 調速装置 |
事故の概要 | ・運転中、発電所が停止し全停電。 ・その後、高圧加減弁主サーボのロッドエンドの破損を確認。 |
事故原因 | 保守不備(保守不完全) ・破損したロッドエンドの潤滑不良によりボール転動部にフレッティングが発生、その摩耗粉により固着が生じ、ボールの転動が良くない状態で破損部位である首下R部に繰り返し大きな曲げ荷重が作用したため、応力集中部であるR底部付近から疲労亀裂が発生・進展し破断に至った。 |
再発防止対策 | ・ロッドエンド交換施工時にボール面に確実にグリスを塗布し、運転開始前に施工箇所を含めた全ての可動部位に対しての給脂を徹底する。 |
件名 | 【火力】自家用発電所ボイラー破損事故 |
発生年月 | 平成26年12月 |
事故発生電気工作物 | ボイラー 水管 |
事故の概要 | ・運転中、出口ガス温度が低下傾向にあり、蒸気と給水の差が10t/hを超える。 ・現場確認の結果、火炉内部から噴出音を確認。ボイラー停止のため予備缶起動。 ・水管破孔の拡大により漏洩量が増大し、火炉上部圧力が高まりボイラートリップ。 ・ガス入口部において水管3本の破孔を確認。 |
事故原因 | 保守不備(保守不完全) ・燃焼灰・ガス流による耐火材の摩耗、剥離により水管破孔に至ったものと推定。 |
再発防止対策 | ・停止時における当該部位の耐火材点検保修を強化(スタッド、打音異常の確認)。 |
件名 | 【火力】自家用発電所ボイラー破損事故 |
発生年月 | 平成26年12月 |
事故発生電気工作物 | ボイラー 蒸発管 |
事故の概要 | ・点検中、スートブロワ付近の炉内覗き窓開放時に異音を確認。 ・蒸発管漏れを目視にて確認し、ボイラー停止。 ・蒸発管外観点検で蒸発管の破孔を確認。 |
事故原因 | 設備不備(施工不完全) ・加工歪みを起因とした高温酸化による応力腐食割れによるものと推定。 |
再発防止対策 | ・次回定期事業者検査時に類似箇所(溶接部近傍)の非破壊検査を実施。 |
件名 | 【水力】事業用水力発電所水車破損事故 |
発生年月 | 平成26年12月 |
事故発生電気工作物 | 水車 |
事故の概要 | ・水車主軸封水部漏水量増加により運転不能。 |
事故原因 | 保守不備(保守不完全) ・直近のオーバーホール時に、水車封水部シールケースを保持するピンを硬い材質に変更し、その後の運転でガイド側の凹みが発生、凹みにピンがはまり、スラスト方向(上下方向)の追従性が失われ、シール部のすき間があいて、流水が浸入したもの。 |
再発防止対策 | ・シールケース回り止めピンのガイド側の凹みを切削。 ・ピン自体を太くし、材質も元に戻す。 ・水車主軸封水部のパッキンの取替。 ・抜本的な対策は次年度に行う。 |
件名 | 【風力】自家用発電所逆変換装置破損事故 |
発生年月 | 平成26年12月 |
事故発生電気工作物 | 逆変換装置 |
事故の概要 | ・警報が発生し、風車が自動停止。 ・逆変換装置のマスターユニットの直流ヒューズの溶断を確認。 ・逆変換装置のマスター側IGBTモジュール1台が内部短絡により破損。 ・IGBTユニット冷却ファンの不具合(ファンの回転停止)が発生。 |
事故原因 | 保守不備(自然劣化) ・IGBTユニット冷却ファン劣化による風量が低下し、ユニット内の温度が上昇したことによりリアクトル及びIGBTユニットが高温状態となる。 ・熱ストレスによりIGBT素子が破損。 |
再発防止対策 | ・リアクトル許容温度の設定値を下げることにより早期の保護動作停止を実施。この対策により、リアクトルの過熱保護及びファン風量低下を早期に発見する。 |
北海道産業保安監督部 電力安全課 電話:011-709-2311 (内線 2720〜2722) E-mail bzl-hokkaido-denryokuanzen@meti.go.jp |
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