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平成30年度第1四半期(4月〜6月)の管内における発電所主要電気工作物破損事故等について

令和元年5月15日更新
平成30年 7月11日
北海道産業保安監督部

 平成30年度第1四半期(4月〜6月)に発生した管内における発電所主要電気工作物破損事故等について、電気関係報告規則(以下、規則という。)に基づき当部に対して10件の報告があり、概要についてお知らせします。
 主要電気工作物は、施設の運転、維持又は保安対策上必要不可欠なものとして規則に定められており、当該電気工作物の破損事故によっては、施設の機能に重大な影響を及ぼすだけではなく、道路や公園等の公共の財産に損害を与え、社会的に影響を及ぼすおそれがあります。
 したがって、発電所に電気工作物を設置する者には、上記のような損害の発生等を抑止するため、「発電用火力設備に関する技術基準」、「発電用水力設備に関する技術基準」又は「発電用風力設備に関する技術基準」に適合するよう維持、管理するとともに、万が一、当該事故が発生したときには、その原因を究明し、再発防止対策を図ることが求められています。
 電気保安に携わる皆様におかれましては、本事例を参考として、事故に伴う損害を十分に認識し、発生し得る社会的な影響を踏まえ、保安意識・技術の向上や、適切な点検・計画的な設備更新を図るとともに、自主保安体制の充実・強化に努め、電気事故の防止に役立てていただきますようお願いいたします。

第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期

No.1
件名 【火力】自家用発電所 ボイラーの排ガスばいじん濃度超過
発生年月 平成30年4月
事故発生電気工作物 ボイラー
事故の概要
  • ボイラーの電気集塵機の集塵効率が低下し、燃焼条件を変更、蒸発量を下げる操作を実施。
  • 臨時に排ガスばいじん測定を行い規制値超過を確認したため、当該ボイラーを停止。
  • 事故原因 保守不備(保守不完全)
  • 電気集塵機の電極汚れ増加により効率低下したため。
  • 再発防止対策
  • 直後の定期検査期間中に電気集塵機の詳細な「点検・整備・清掃」を実施。
  • 電気集塵機の荷電電圧及び電流の監視強化を図り、異常傾向を認知した場合には、直ちに排ガスばいじん濃度測定を行い、規制値を超過しないように対策を実施する。

  • No.2
    件名 【風力】自家用発電所 限流リアクトル破損事故
    発生年月 平成30年4月
    事故発生電気工作物 限流リアクトル
    事故の概要
  • 風力発電設備で、「変圧器過電流」、「変圧器地絡過電流」、「BTB重故障(タワー)」のアラームが発生、高圧遮断器がトリップし風車が停止した。
  • 現場確認したところ、リアクトル盤内リアクトルのV相に焼損跡を発見、絶縁抵抗測定したところ、U相、W相は、2000MΩ以上、V相のみ0MΩ/1000Vメガであった。
  • 事故原因 保守不備(自然劣化)
  • 当該リアクトルは製作から16年が経過しており、高調波などの浸入により、鉄心が過熱状態となり、そのことにより絶縁が劣化していき、過熱破損に至ったものと推定。
  • 再発防止対策
  • 全風車に設置されているリアクトルの絶縁抵抗値の測定を行い記録・確認し、絶縁抵抗値の低下が認められた場合は、絶縁抵抗測定の周期を短くして実施し、その絶縁抵抗値に異常が認められた時には、事前にリアクトルの交換を実施する。

  • No.3
    件名 【火力】自家用発電所 ボイラー炉内蒸発管破損事故
    発生年月 平成30年5月
    事故発生電気工作物 炉内蒸発管
    事故の概要
  • 給水量と蒸発量に偏差の異常を確認し、ボイラー停止操作開始。
  • ドラムレベルLL警報発報と共にインターロックが作動、MFTに至る。巡視点検の結果、炉内蒸発管にて漏洩音を確認。
  • 後日、炉内蒸発管に約φ10の破孔を確認した。
  • 事故原因 保守不備(保守不完全)
  • 耐火キャスターの脱落により管が露出し、流動砂により摩耗・減肉したため破孔した。
  • 再発防止対策
  • 耐火キャスターの点検の強化し劣化状況を確認する。点検にて発見された状態に適した補修の実施と劣化状況に応じて耐火キャスターの更新を計画的に実施する。

  • No.4
    件名 【風力】自家用発電所 風力機関ブレード破損事故
    発生年月 平成30年5月
    事故発生電気工作物 風力機関 ブレード
    事故の概要
  • 作業員が、バリバリという大きな音を聞き、ブレードの一部が飛んでいくのを見たとの連絡があった。
  • 現地へ急行し、風車を緊急停止させ、目視にて当該号機のブレードの破損を確認した。
  • 事故原因
  • 自然現象(雷)
  • ブレード損傷部断面には、補修部分境界の破断、CFRPとPUFFの接合界面の剥離、CFRPの膨らみ・破断、PUFFの破砕等が観察されることから、雷によって境界面の近傍のPUFF等に結露した水が雷電流の電路となり、ジュール熱で水蒸気爆発したものと推定。
  • 再発防止対策
  • 耐雷化工事(アルミ製キャップタイプの翼端部)を行い、発電所の耐雷性能を向上させる。

  • No.5
    件名 【火力】自家用発電所 ボイラー蒸発管破損事故
    発生年月 平成30年5月
    事故発生電気工作物 蒸発管
    事故の概要
  • ボイラ火炉廻りを点検中、デスラガ近傍で蒸気漏洩音を確認。 炉内蒸気漏洩と判断し、プラント停止を決定。
  • 発電機解列、ボイラ消火。後日、蒸発管の2箇所に破孔部を確認した。
  • 事故原因 保守不備(自然劣化)
  • デスラガの蒸気噴射範囲による溝状腐食の生成、およびチューブ溶接部(応力集中箇所)における熱収縮・膨張の繰返しにより熱疲労が進行し漏洩に至ったと推定。
  • 再発防止対策
  • 漏洩配管(2本)及び隣接管(3本)は新配管に取替実施。
  • 漏洩部位と同様にデスラガ初期噴射範囲にチューブ溶接部がある箇所(5本)は新配管に取替実施。

  • No.6
    件名 【風力】自家用発電所 発電機破損事故
    発生年月 平成30年6月
    事故発生電気工作物 発電機
    事故の概要
  • 重故障によりトリップ。
  • 目視確認で異常個所が発見できないため、各所のメガリング調査実施し、誘導発電機2次巻線回路に絶縁不良を発見。
  • PCS盤内の系統側FUSEの溶断、LVRT−Uのダイオードの破損、LVRTユニット内の地絡を確認。
  • 事故原因 設備不良(製作不完全)
  • 風車メーカーの製造工程等を確認したが、要因となる問題は確認されず、返送品の解体時においても要因となる問題は確認されなかったことから、ダイオードの偶発的故障と判断した。
  • 再発防止対策
  • ダイオードの故障は偶発的故障と判断し、偶発的故障の発生確率を検討した上で、新品に交換することで対策とした。

  • No.7
    件名 【風力】自家用発電所 発電機破損事故
    発生年月 平成30年6月
    事故発生電気工作物 発電機
    事故の概要
  • 発電機のインバータ及びレクティファイアRST相異常により非常停止。
  • 風力ナセル電力盤内にあるインバータS相基板及び レクティファイアRS相取り付け端子の損傷を確認、発電機用励磁装置の破損を確認。
  • 事故原因
  • 設備不備(製作不完全)
  • IGBTドライバ基板へのノイズ混入とIBGT及びIGBTドライバ基板間のゲート配線の接続不良によるもの。
  • 再発防止対策
  • IBGTドライバ基板前面へのシールド板設置。
  • 各部配線・コネクタの再確認及び接地線端子の取り付け強化。
  • 上記対策を全ての風車全号機に対して行う。

  • No.8
    件名 【太陽光】自家用発電所 逆変換装置破損事故
    発生年月 平成30年6月
    事故発生電気工作物 逆変換装置
    事故の概要
  • 逆変換装置(PCS)が発電中に直流地絡が発生し、直流入力MCCBが遮断・停止。PCS盤内、モジュールの外観点検、PCS直流側絶縁抵抗測定の結果、異常なし。
  • メーカー技術員による点検の結果、PCS盤内パワーユニットのプラグイン部w相の加熱変色を発見し、PCS破損事故と判断した。焼損したプラグイン部を交換して発電を再開した。
  • 事故原因
  • 設備不備(製作不完全)
  • メーカーで原因の絞り込みを行い検証の結果、嵌合プラグ部の焼損原因は熱膨張と収縮を繰り返し(微摺振動)、プラグ部コンタクト(銀Agメッキ)とパワーユニット出力銅バー(錫Snメッキ)が擦れ、硬度の低い錫メッキの摩擦粉が酸化し、嵌合部の接触抵抗が増加したことにより過熱、焼損に至った。
  • 再発防止対策
  • 発電所全PCS(30台)について、パワーユニット出力銅バーのメッキを硬度の低い錫メッキから銀メッキに変更及びプラグの全数交換を実施する。

  • No.9
    件名 【風力】自家用発電所 風力機関ブレード破損事故
    発生年月 平成30年6月
    事故発生電気工作物 風力機関 ブレード
    事故の概要
  • 風力発電機連系用遮断器トリップ発生。雷雨の影響(推定)により風車自動停止となるが、発電所周辺が雷雨のため翌日に点検することとした。
  • 翌日、ブレードの目視点検等の結果、外観に異常が無いことから試運転を実施。1枚のブレードに異音及び破損が生じ、一部が風車後方約10mの地上に落下。風車を手動停止とした。
  • 事故原因 自然現象(雷)・保守不備(保守不完全)
  • 事故発生時刻とほぼ同時刻に落雷が頻発していることが観測されており、また下架した損傷ブレード現地調査の結果、ブレードへの落雷痕とは別にブレードが落雷を受けた後の試運転(ロータ回転)によるブレード外皮損傷状況も確認された。
  • これらの状況を踏まえ、落雷によるブレード先端部の開口(自然現象・雷)と落雷発生後のブレード状況の確認不足(保守不備・保守不完全)であったことによるものと結論付けた。
  • 再発防止対策
  • 風車直撃雷検出装置を設置し、直撃雷の実績を管理するとともに、直撃雷を検出した際には、各々の風車を自動停止するよう風車停止シーケンス条件に追加した。
  • 風車直撃雷検出時のブレード点検方法を見直した。

  • No.10
    件名 【風力】自家用発電所 風力機関ブレード破損事故
    発生年月 平成30年6月
    事故発生電気工作物 風力機関 ブレード
    事故の概要
  • 雷が発生。被害状況の確認は難しく、運転員は雷多発、悪天候のため退避する。
  • 翌日以降、被災調査実施し、停止号機を順次調査復旧後、外観調査を実施。
  • 当該号機1枚のブレード損傷を確認。保安停止措置を行った。風車から南東方向約30m地点で欠損部を発見し回収。
  • 事故原因 自然現象(雷)
  • ブレード損傷部断面には、補修部分境界の破断、CFRPとPUFFの接合界面の剥離、CFRPの膨らみ・破断、PUFFの破砕等が観察されることから、雷によって境界面の近傍のPUFF等に結露した水が雷電流の電路となり、ジュール熱です蒸気爆発したものと推定。
  • 再発防止対策
  • 耐雷化工事(アルミ製キャップタイプの翼端部)を行い、発電所の耐雷性能を向上させる。

  • 北海道産業保安監督部 電力安全課
    電話:011-709-2311
    (内線 2720〜2722)
    E-mail bzl-hokkaido-denryokuanzen@meti.go.jp

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