令和 3年 7月28日
北海道産業保安監督部
北海道産業保安監督部
令和2年度に発生した管内における自家用電気工作物の破損等により一般電気事業者の電力供給に支障を与えた事故(波及事故)について、電気関係報告規則に基づき10件の報告があり、概要をとりまとめましたのでお知らせいたします。
電気工作物を設置する者には、感電、火災及び供給支障等の防止を図るために「電気設備の技術基準」に適合するよう電気工作物を設置し、維持することが求められております。
電気保安に携わる皆様におかれましては、これら事故に伴う損失・被害を十分に認識し、保安意識・技術の向上や、適切な点検、計画的な設備更新を図るとともに、自主保安体制の充実・強化に努め、電気事故の防止に役立てていただきますようお願いいたします。
電気工作物を設置する者には、感電、火災及び供給支障等の防止を図るために「電気設備の技術基準」に適合するよう電気工作物を設置し、維持することが求められております。
電気保安に携わる皆様におかれましては、これら事故に伴う損失・被害を十分に認識し、保安意識・技術の向上や、適切な点検、計画的な設備更新を図るとともに、自主保安体制の充実・強化に努め、電気事故の防止に役立てていただきますようお願いいたします。
No.1
No.2
No.3
No.4
No.5
No.6
No.7
No.8
No.9
No.10
発生年月 | 令和2年5月 |
事故発生 電気工作物 |
高圧交流負荷開閉器(LBS) |
事故の状況 | 停電作業で安全を確保するため接地短絡装置を取り付けて年次点検を実施していた。区分開閉器の保護連動試験をする際に、接地短絡装置を取り外すのを忘れたまま、区分開閉器を操作したことにより短絡事故が発生し、電力会社の変電所の保護継電器が動作し、波及事故となった。 |
事故原因 | 【故意・過失(作業者の過失)】 (1) 区分開閉器投入時に、LBS一次側に取り付けていた接地短絡器具の取り外しを失念した。 (2) 地絡継電器と区分開閉器連動試験のために、継電器の商用電源を開放していたため区分開閉器を投入した際に当該開閉器が開放せず、永久事故となった。 (3) 作業手順表は作成していたが、作業項目ごとのチェックをしていなかった。 |
被害の状況 (事業場の概要) |
供給支障電力:199kW、供給支障時間:24分 (受電電圧:6.6kV、電気主任技術者の選任形態:外部委託) |
再発防止対策 | (1) 停電年次点検の際は電力会社の分岐開閉器および区分開閉器を開放し、区分開閉器の連動試験時の誤送電を防止する。 (2) チェックシートの活用漏れを防止するため、キュービクル前面等の視認しやすい場所に掲示出来るようチェックシートを改良する。(区分開閉器、LBSの入切状態、接地短絡器具の付外状態を視認出来るようマグネットシート等を活用し、見やすい場所に掲示する。) (3) 年次点検手順の教育訓練を、1回/年で実施する。 (4) 年次点検実施についての増員、複数人体制について実現に向け努める。 |
No.2
発生年月 | 令和2年6月 |
事故発生 電気工作物 |
高圧気中開閉器(7.2kV200A SOG付) |
事故の状況 | 電力会社の変電所の遮断器が地絡並びに過電圧継電器により動作し停電となった。調査の結果、当該事業所の事故であることが分かり、第1柱に施設した区分開閉器との一次側を開放し、停電が解消された。 |
事故原因 | 【自然現象(雷)】 - |
被害の状況 (事業場の概要) |
供給支障電力:1,140kW、供給支障時間:99分 (受電電力:6.6kV、電気主任技術者の選任形態:外部委託) |
再発防止対策 | - |
No.3
発生年月 | 令和2年6月 |
事故発生 電気工作物 |
高圧交流負荷開閉器(LBS) |
事故の状況 | 電力会社の変電所の遮断器が地絡継電器により動作し停電となった。調査の結果、当該事業場の事故であることが分かり、分岐開閉器を開放し、停電が解消した。 |
事故原因 | 【他物接触(鳥獣接触)】 キュービクルの下部にヘビ等が侵入できる孔等があり、そこからヘビが入り、高圧負荷開閉器にて感電したためと思われる。 |
被害の状況 (事業場の概要) |
供給支障電力:-、供給支障時間:84分 (受電電圧:6.6kV、電気主任技術者の選任形態:未選任) |
再発防止対策 | (事業場は廃止) |
No.4
発生年月 | 令和2年6月 |
事故発生 電気工作物 |
高圧気中開閉器(7.2kV300A) |
事故の状況 | 電力会社の変電所の遮断器が過電流継電器により動作し停電となった。調査の結果、当該事業場の事故であることが分かり、分岐開閉器を開放し停電が解消された。 |
事故原因 | 【保守不備(保守不完全)】 当該開閉器の型については、メーカーが塩分の影響による発錆にて指針軸が固渋し、開放不具合が発生する可能性があると文書で周知していた。また、事故前の年次点検で不具合が確認されていたが、メーカーから周知された不具合品であるかの調査が行われていなかった。更に経年劣化による機構不良として更新要請をしていたが、具体的な設備の状況を調査せず使用を続けたことに問題があった。 |
被害の状況 (事業場の概要) |
供給支障電力:286kW、供給支障時間:42分 (受電電圧6.6kV、電気主任技術者の選任形態:外部委託) |
再発防止対策 | (1)メーカーによる不具合の発生情報については、過去のものであっても風化する事が無いよう、情報収集に努め、事業所と共有できる仕組みを構築する。 (2)沿岸部に設置されている屋外の高圧機器全般については、錆の進行に関わらず、メーカーの更新推奨年を参考にしながら更新計画を行う。又、区分開閉器(高圧気中開閉器)については、電気主任技術者の月次点検に合わせ、停電可能時に、トリップコイル等の絶縁抵抗を測定して水分侵入による内部の発錆について有無を確認する。 |
No.5
発生年月 | 令和2年6月 |
事故発生 電気工作物 |
高圧気中開閉器(7.2kV200A) |
事故の状況 | 電力会社の変電所の遮断器が地絡方向継電器により動作し停電となった。調査の結果、当該事業場の事故であることが分かり、分岐開閉器を開放し停電が解消された。 |
事故原因 | 【自然現象(雷)】 当該地域において雷が発生しており、雷の侵入により絶縁破壊をしたものと推定される。 |
被害の状況 (事業場の概要) |
供給支障電力:309kW、供給支障時間:154分 (受電電圧6.6kV、電気主任技術者の選任形態:外部委託) |
再発防止対策 | - |
No.6
発生年月 | 令和2年6月 |
事故発生 電気工作物 |
高圧区分開閉器(7.2kV200A SOG付) |
事故の状況 | 電力会社の変電所が地絡継電器により動作し停電となった。調査の結果、当該事業場の分岐開閉器を解放し停電が解消された。 |
事故原因 | 【自然現象(雷)】 区分開閉器は落雷による破裂や損傷の跡があり、当日は天気も悪く雷も発生していたため誘導雷によるものと推定される。 |
被害の状況 (事業場の概要) |
供給支障電力:242kW、供給支障時間:187分 (受電電圧6.6kV、電気主任技術者の選任形態:外部委託 |
再発防止対策 | (対策としてLA内蔵の開閉器の設置を検討) |
No.7
発生年月 | 令和2年6月 |
事故発生 電気工作物 |
高圧気中開閉器(7.2kV200A) |
事故の状況 | 電力会社の変電所の遮断器が地絡継電器により動作し停電となった。調査の結果、当該事業場の事故であることが分かり、分岐開閉器を開放し停電が解消された。 |
事故原因 | 【自然現象(雷)】 |
被害の状況 (事業場の概要) |
供給支障電力:-kW(停電戸数 約50戸)、供給支障時間:98分 (受電電圧6.6kV、電気主任技術者の選任形態:外部委託) |
再発防止対策 | (対策としてLA内蔵の開閉器の設置を検討) |
No.8
発生年月 | 令和2年8月 |
事故発生 電気工作物 |
高圧気中開閉器二次側配線 |
事故の状況 | 強風により倒れた木が高圧気中開閉器に触れ、当日の風雨により高圧気中開閉器の二次側配線で相間短絡状態となり、波及事故に至った。 |
事故原因 | 【自然現象(風雨)】 |
被害の状況 (事業場の概要) |
供給支障電力:-kW、供給支障時間:259分 (受電電圧6.6kV、電気主任技術者の選任形態:選任(統括) |
再発防止対策 | 巡回点検時に倒れる可能性がある樹木がないか確認し、倒木の可能性がある場合は樹木の伐採を行うこととする。 |
No.9
発生年月 | 令和2年8月 |
事故発生 電気工作物 |
高圧交流負荷開閉器(LBS) |
事故の状況 | 年次点検作業(高圧絶縁抵抗測定・低圧絶縁抵抗測定・高圧機器観察点検・機器の清掃等)終了後、SOG制御装置と区分開閉器との連動試験を行うため区分開閉器を投入したところ、電力会社の変電所の遮断器が短絡により動作し停電となった。 |
事故原因 | 【故意過失(作業者の過失)】 (1)LBS電源側に取り付けた三相短絡線を取り外さず、区分開閉器を投入したため。(降雨中の作業であり、 焦りが生じて送電時間を勘違いして、急いで連動試験を行おうとしている内に接地・短絡の有無、開閉器の入・切状態の確認を忘れて区分開閉器を投入した。) (2)SOG制御装置と区分開閉器間の連動試験のため、SOG制御装置の配線を外し、SOG試験器に接続されたままであったため事故を検出できなかった。 |
被害の状況 (事業場の概要) |
供給支障電力:110kW、供給支障時間:56分 (受電電圧6.6kV、電気主任技術者の選任形態:外部委託) |
再発防止対策 | (1) VCTが接続されていない高圧ケープル絶縁測定は、短絡して一括測定せず、 各相について測定する。 (2) SOG制御装置試験(連動試験を含む)は、中断することなく実施出来るようにSOG動作特性試験と高圧回路絶縁抵抗測定について、正しい年次点検チェック表を作成し、これに基づいて実施する。 (3) 雨天等の悪天候時は作業を中止する。さらに、年次点検実施については当面の間2名以上で行うこととする。 |
No.10
発生年月 | 令和3年2月 |
事故発生 電気工作物 |
高圧交流負荷開閉器(LBS) |
事故の状況 | 電力会社の変電所の遮断器が地絡・短絡継電器により動作し停電となった。調査の結果、当該事業場の事故であることが分かり、高圧引込開閉器を開放したところ停電が解消された。 |
事故原因 | 【保守不備 (自然劣化)】 点検では欠陥が見つけられなかったが、高圧交流負荷開閉器(LBS)は設置から37年経過し、メーカー推奨の耐用年数を超過し内部に劣化を生じていたものと推定される。 |
被害の状況 (事業場の概要) |
供給支障電力:638kW、供給支障時間:120分 (受電電圧6.6kW、電気主任技術者の選任形態:外部委託) |
再発防止対策 | 地絡保護装置を取り付けていれば波及事故までには至らなかった。また、キュービクル以外にも高圧ケーブルも耐用年数を超過しており、今後高圧ケーブルに起因した事故の可能性もあるため、事業者と協議し、高圧ケーブル及びキュービクルの早急な取替を進める。 |
お問合せ先
北海道産業保安監督部 電力安全課
電話:011-709-2311(内線 2730~2732)
メール:bzl-hokkaido-denryokuanzen★meti.go.jp
※ [★]を[@]に置き換えてください。
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