令和7年の年頭に当たり、謹んで新年のお慶びを申し上げます。 旧年中は、産業保安行政に対し格別の御理解と御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、令和6年を振り返ると、1月1日に発生した能登半島地震や全国で相次いだ豪雨災害など、近年の自然災害の激甚化・頻発化を改めて印象づける1年でありました。また、昨年8月に初めて南海トラフ地震臨時情報が発表されたことを機に、北海道においても、近年発生が危惧される「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震」に係る対策、特に厳寒期での災害時連携によるライフラインの早期復旧など、自治体、他省庁及び関係事業者の皆様との一層の連携強化を含めた防災体制の実効性確保が急務であることを再認識したところです。 また、産業保安分野においては、こうした自然災害に加えて、設備の高経年化、保安人材の高齢化とその長期的な不足、技術・技能伝承力の低下等、将来に向けて産業保安を継続的に確保する上での構造的な課題が顕在化しております。このため、IoTやビッグデータ、AI、ドローン等の革新的に進展する新たなテクノロジーの導入により、安全性と効率性を追求しつつ、保安レベルを持続的に向上させるための取組を進めることが肝要と考えます。
こうした状況を踏まえ、今年も引き続き「大規模自然災害に対する産業保安の確保」、「スマート保安の推進」に加え、特に北海道管内における各保安分野について、以下の取り組みを実施してまいります。
都市ガス保安分野においては、昨年は負傷者を伴う事故は発生しなかったものの、経年劣化や車両の衝突折損による灯外内管等からのガス漏えいが発生しております。「ガス安全高度化計画2030」に基づき、計画の目標である2030年の死亡事故ゼロに向けて、ガス事業者、需要家等と協働し、安全・安心な社会の実現を目指した取り組みを引き続き実施してまいります。
火薬類保安分野においては、負傷者を伴う事故が2件発生したほか、高圧ガス保安分野では設備の経年劣化や誤操作による漏えいが発生しております。関係機関と連携し事故再発防止に向けた取り組みを引き続き実施してまいります。 また、昨年5月には「水素社会推進法」が成立し、同10月に施行されました。今後低炭素水素等の利用の拡大が見込まれる中、水素保安戦略の下、公共の安全の維持及び災害の発生防止等、保安の確保に取り組んでまいります。
電気保安分野においては、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、太陽光・風力発電設備を中心とした再生可能エネルギーの導入や、需要サイドの電化が進む中、事故・トラブルの発生も少なくありません。昨年は感電等による死傷事故が4件発生したほか、波及・火災事故も発生しております。設置者を始め専門家や関係者と連携し原因究明と再発防止を徹底し、引き続き電気保安の確保に取り組んでまいります。
鉱山保安分野においては、令和5年4月からスタートした「第14次鉱業労働災害防止計画」に基づき、鉱山災害の撲滅を達成すべく、各鉱山が行う鉱山保安マネジメントシステムの有効性向上に資する自主的な取り組みを支援してまいります。 また、昨年5月に、CO2の試掘・貯留事業及び導管輸送事業に係る事業規制・保安規制を新たに整備した「CCS事業法」が成立し、このうち試掘事業に関しては昨年11月に施行されました。今後、北海道管内で試掘事業が実施される際には、公共の安全の維持及び災害の発生防止等、保安の確保に取り組んでまいります。
鉱害防止分野においては、令和5年4月からスタートした「特定施設に係る鉱害防止事業の実施に関する基本方針(第6次基本方針)」に基づき、地方公共団体や鉱業権者等が行う休廃止鉱山の鉱害防止事業の着実な実施、また、近年激甚化・頻発化する傾向にある自然災害へのレジリエンス強化への支援を図ってまいります。
最後になりますが、令和7年が皆様にとって良い年となりますことを祈念いたしまして、新年の挨拶といたします。本年も「御安全」に!