北海道産業保安監督部では、電気事業法第107条第4項の規定に基づき、毎年北海道管内の自家用電気工作物を設置する事業場(需要設備)に対し立入検査を実施しています。この検査は、技術基準適合状況、保安規程遵守状況、並びに主任技術者の執務状況等を調査することにより、保安体制の実態を把握するとともに、事故を未然に防止することを目的としております。
令和4年度は4つの事業場に対し立入検査を実施しました。なお令和4年度は、新型コロナウィルス感染症による緊急事態宣言等の影響を受けたこと、また台風や大雨等の自然災害に伴う太陽光パネルの損壊・飛散を契機とし、土砂災害警戒区域に立地する等、損壊・飛散のリスクが高い太陽電池発電設備の立入検査に重点を置いたことにより、需要設備の実施件数が例年と比べ少なくなっております。 主任技術者の選任形態別では以下のとおりとなっております。
文書による不備事項指摘の内容については、「主任技術者の執務、保安規程遵守状況及びその他手続き関係の改善指示」(別表1)及び「電気設備関係改善指示(不良事項)」(別表2)に大別して整理しています。
不備事項の件数は、「主任技術者の執務、保安規程遵守及びその手続きに関する件数」が3件となっております。なおこの件数は、1つの事業場で複数の不備事項指摘を受けている場合は、のべ件数をカウントしております。 主な不備事項の指摘内容については、以下のとおりです。
令和4年度の立入検査結果を総括すると、保安管理上の問題として、「保安規程手続き状況」、「保安規程遵守状況」が指摘されております。設備の不良事項については、当該年度の立入検査数が少なく、改善指示は認められませんでしたが、立入検査を実施した事業場に限らず、各事業場においては、少なからず問題が内在している状況にあると認識しています。 電気事業法において自家用電気工作物は、その設置者による自主保安が原則となっており、その根幹は、技術基準への適合を念頭に自ら保安規程を定めてその規程を遵守すること、そして電気主任技術者の選任者(外部委託を含む)による自主保安の状況を管理・監督することにありますので、自家用電気工作物設置者をはじめ、電気保安に携わる方々におかれましては、保安規程についてその意義及び自主保安に占める重みを今一度再認識していただくようお願いします。 なお、近年の社会情勢の変化に応じて機動的な制度改革を行っており、例えば、電気保安分野におけるスマート化の推進や再エネの導入拡大に合わせて、令和4年10月より、サイバーセキュリティの確保と保安規程への記載が必要となっております。設置者におかれましては適宜、最新の法令等について確認の上、電気保安に携わる方々への情報共有をしていただくとともに、必要な場合は保安規程変更等の手続きをお願いします。 また、電気設備の不良として、設備の破損、感電、火災、波及事故等の電気事故・トラブルの発生に至る可能性があり、設置者における設備被害のみならず、他の者へ被害が及ぶ場合も考えられます。このため、設置者は、電気事故に伴う被害・損失を十分に認識し、外部委託の受託者においても設置者に対し、電気設備の不良を放置した場合に想定される被害・損失を十分に説明いただき、自家用電気工作物の適切な点検、計画的な更新、早期の補修、改善等の措置がとられるようお願いします。 今後とも計画的・機動的な立入検査の実施を通じ、電気事故防止の一助とするため、関係者に対する適切かつ迅速な指導、情報提供等を行っていきたいと考えていますので、引き続き、自家用電気工作物の自主保安の確保にご尽力いただくよう、よろしくお願いします。