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令和5年度発電所に係る立入検査結果について

令和 6年 7月19日
北海道産業保安監督部
  1. 1.立入検査の目的
  2.  本検査は毎年、電気事故の未然防止等を目的として、電気事業法(以下「法」という。)第107条第2項、第4項又は第5項の規定に基づき、管内の発電所に対して実施し、技術基準適合状況、保安規程遵守状況及び主任技術者の執務状況等を調査し、当該発電所の保安実態を把握することとしております。
  3. 2.立入検査実施件数
  4.  令和5年度は、当監督部管内の電気事業用電気工作物及び自家用電気工作物のうち39発電所に対して立入検査を実施しました。当該立入検査の実施内訳は以下のとおりです。
  5. (1) 火力発電所 15発電所 (電気事業用 1、自家用14)  内3発電所において不備事項有
    (2) 水力発電所 3発電所 (電気事業用 1、自家用 2) 不備事項なし
    (3) 風力発電所 5発電所 (自家用のみ) 内3発電所において不備事項有
    (4) 太陽電池発電所 15発電所 (自家用のみ) 内9発電所において不備事項有
  6. 3.検査事項及び不備事項・件数
  7.  法に適合しない事項が認められたものについては、別添の表に発電所毎に項目・件数を整理しており、事業者に対し必要な指導を行うとともに不備事項の改善を求めました。
     なお、発電所毎の主な不備事項は、以下のとおりです。
  8. (1) 火力発電所(表-1
  9.  ・「ばい煙量の測定にあたり、窒素酸化物や硫黄酸化物の測定頻度が大気汚染防止法で規定されている測定頻度を満たしていない。」等の不備事項がありました。
  10. (2) 水力発電所(表-2
  11.  ・不備事項なし
  12. (3) 風力発電所(表-3
  13.  ・「保安規程に法定事業者検査について定められていなかった。」
  14.  ・「社内マニュアルで実運用されており、保安規程との整合性がとれていなかった。」等の不備事項がありました。
  15. (4)太陽電池発電所(表-4
  16.  ・「太陽電池モジュールに破損が確認された。」
  17.  ・「発電所等への取扱者以外の者の立入の防止措置が講じられていない。(さく等が無い。さくは有るが容易に侵入できる隙間がある)」等の不備事項がありました。
  1. 4.まとめ
  2.  発電所の設置者は、法第42条により、電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安確保のため、自ら保安規程を定め、設置者及びその従業員はこれを遵守することが求められております。また、設置者は、法第39条により、電気工作物の技術基準への適合維持が求められております。
     上記を遵守・維持するため、主任技術者等は、検査記録等の適切な確認・管理、現場巡視等による設備の設置・運転状況の把握、保守点検計画の作成への積極的な関与等を通じ、電気工作物の実態が保安規程に合致していること等について定期的な確認を行うことが必要とされております。また、トラブルが発生したときには、今後の事故・不具合等の未然防止に向けて、原因究明や再発防止対策に取り組むほか、電気関係報告規則に基づき適切に報告し、確実に記録を残してください。
     最後に、発電所の設置者におかれましては、本立入検査結果を参考として、主任技術者や保安監督業務担当者等の意見を尊重し、保守点検計画の適切な見直し・実行を含め、継続的な保安体制の改善・強化に努めていただきますようお願いいたします。
表-1~4(153KB)PDFファイル
表-1 火力発電所における不備事項(3発電所 6件)
  項目 件数 不備事項(具体例)
1.手続き状況   4
  • 電気主任技術者が設置者の自社選任で届出されていたが、実際は設置者社員以外からの外部選任だった。
  • 排出ガス量の測定記録や煙突の有効高さが届出値と異なっており、電気工作物の使用方法変更届を提出していない。
  • 排出ガス量が届出値を超えているが、電気工作物の使用方法変更届を提出していない。
  • 破損した主要電気工作物を修理した記録があるが、電気関係報告規則に基づく事故報告を提出していない。
2.保安規程遵守状況      
3.その他 a 大気汚染防止法関連 2 ばい煙量の測定にあたり、窒素酸化物や硫黄酸化物の測定頻度が大気汚染防止法で規定されている測定頻度を満たしていない。
  b 電気設備技術基準関連 0  
  c 火力設備技術基準関連 0  
  d 振動規制法関連 0  
  e 騒音規制法関連    
  f その他 0  
  指摘件数 6  
表-2 水力発電所における不備事項(なし)
  項目 件数 不備事項(具体例)
1.手続き状況   0  
2.保安規程遵守状況   0  
3.その他 a 電気設備技術基準関連 0  
b 水力設備技術基準関連 0  
c その他 0  
  指摘件数 0  
表-3 風力発電所における不備事項(3発電所 3件)
  項目 件数 不備事項(具体例)
1.手続き状況   0  
2.保安規程遵守状況   2
  • 保安規程に法定事業者検査について定められていなかった。
  • 社内マニュアルで実運用されており、保安規程との整合性がとれていなかった。
3.その他   1 風車倒壊事故を踏まえた緊急点検で、一部詳細点検(非破壊検査)が未確認であった。
  指摘件数 3  
 表-4 太陽光発電所における不備事項(9発電所 35件)
  項目 件数 不備事項(具体例)
1.手続き状況   0  
2.保安規程遵守状況   0  
3.その他 a 電気設備技術基準関連 5
  • 太陽電池モジュールに破損が確認された。
  • 発電所等への取扱者以外の者の立入の防止措置が講じられていない。(さく等が無い。さくは有るが容易に侵入できる隙間がある)
b 太陽電池設備技術基準関連 0  
①設計荷重 7
  • 構造計算書で接合部の安全性、杭基礎の安全性、PCS等の付帯設備を取り付けたときの設計荷重が確認できない。
  • 構造計算書で支持物構成材に使用する風圧荷重が算定されていない。
  • 構造計算書で地上垂直積雪量の根拠が不明で過少に算定されている。
  • 構造計算書の積雪荷重、風圧荷重、地震荷重、架構モデル等が実物と異なっており、妥当性が確認できない。
  • 設置場所が多雪区域に該当しているが、検討すべき荷重条件の組合せで検討されていない。
  • 各部材の検討において、風圧荷重と地震荷重で発生する水平成分の荷重に関する検討がされていない。
②支持物構造 4
  • 雪害によって支持物が破壊され、撤去されていたため、支持物の構造安全性が確認できない。
  • 支持物に塑性変形が確認された。
  • 太陽電池モジュールの押え金具の外れが確認された。
  • 図面や構造計算書に記載のないパネル受の継手が実構造物では確認された。
③部材強度 4
  • 図面や構造計算書に記載されていない部材が実構造物で確認された。
  • 全ての部材で曲げ、横、局部座屈による許容応力度の低減が考慮されていない。
  • 柱部材でボルト孔による欠損を考慮した断面性能で検討されていない。
  • パネル受けの荷重負担が本数で等分にされており、過少に算定されている。
④使用材料 1 アルミ押出材の基準強度の根拠が不明で過大に評価している。
⑤接合部構造 7
  • 支持物接合部において、ボルトやねじの緩み、脱落が確認された。
  • 支持物筋交いの脱落が確認された。
  • 柱ー柱の接合部に芯ずれが確認された。
  • 接合部材の強度試験において境界条件が実状に即していない。また試験条件が不明である。
  • 耐力値を求めるために行われた試験資料がなく、極限試験値の根拠が不明である
⑥基礎及びアンカー強度 7
  • 杭基礎周辺の地盤が掘削されており、支持力等の低下が懸念される。
  • 杭基礎の載荷試験データの提出がないため、杭基礎の安全性が確認できない。
  • 図面や構造計算書に記載されている杭と実構造物の突出長さが異なる。
  • 雪害によって、曲がった杭や破断した杭が確認できた。また、それらの杭が貫⼊されていたモルタル部の割れも確認できた。
  • 地耐力が設計荷重を下回っていた。
  • 杭の水平力の検討において、半無限長の杭として解析を行っているため、杭基礎の安全性が確認できない。
  • 杭の水平変位が許容水平変位を超えている。
⑦アレイ面の最高さが9mを超える 0  
⑧土砂の流出及び崩壊の防止  0  
  指摘件数 35  

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